糖尿病の食事コラム

糖尿病における高血圧の危険性~高血圧を予防する食品と食事の工夫

糖尿病患者さんのうち高血圧の方は約40%~60%であるといわれています。


なぜ糖尿病患者さんには高血圧の方が多いのでしょうか。
今回は、糖尿病と高血圧の関係とその危険性、また、高血圧を予防する食材や食事のポイントについて紹介したいと思います。


※高血圧とは、一般的に収縮期血圧(心臓が収縮して血液を送り出した時の血圧:最高血圧)が140mmHg 以上、または拡張期血圧(心臓が拡張した時の血圧:最低血圧)が90mmHg 以上の状態のことを言います。
またちなみに、糖尿病患者さんの血圧の基準は、最高血圧が130mmHg、最低血圧が80 mmHgです。



糖尿病や合併症の進行を加速させる、高血圧の危険性

糖尿病は初期には自覚症状が出づらいと言われますが、高血圧も同様に自覚症状に乏しく、進行すると糖尿病腎症や動脈硬化といったさまざまな合併症を引き起こし、また高血圧自体の進行をさらに加速させる要因にもなります。


糖尿病患者さんに高血圧が多いのにはいくつか理由があります。


・循環血液量が増える

血糖値が高い状態が続くと、糖分の多い血液を薄めるため、体の細胞の中から水分が外へ出てきたり、腎臓の水分吸収量が増えることで、全身の体液や血液量が増加します。
そのため、血管に必要以上の圧力がかかり、血圧が上昇するのです。


さらに、血管はその圧力に耐えようとして血管壁を強くしようとするため、だんだん血管壁は厚くなってきます。
そうなると、血管が狭くなったり弾力がなくなって、糖尿病の合併症でもある動脈硬化へとつながっていきます。

  

・糖尿病患者さんに多い肥満の状態

特に肥満の方の場合は、交感神経が刺激されやすく、血管の筋肉を肥大させ血圧を上げるホルモン(アドレナリンやノルアドレナリン)が多く分泌される傾向にあり、血圧が上昇します。


※一般的に肥満の方は慢性的に過食である傾向にあり、脂質の過剰摂取により、体はより多くの脂質を代謝してエネルギーに変えようと働きます。
このとき、脂質の代謝を促そうと交感神経が刺激され、脂肪の分解・代謝を促進させるリパーゼという酵素を活性化させる働きをするホルモン(アドレナリンやノルアドレナリン)が分泌されます。


・糖尿病の合併症を併発している

糖尿病腎症の合併症があると、腎臓から血圧を上げるホルモンが分泌されます。
このホルモンは血管収縮を引き起こして血圧を上昇させてしまうのです。
また糖尿病腎症により腎機能が低下しているため、血液のろ過機能が低下し血液量が増えることも血圧が上がる原因です。


高血圧状態では、体液や血液の量が増加するだけでなく腎機能への負担が増大し、腎機能が低下するため血液に老廃物や不要な塩分(ナトリウム)も多くなっています。


また、これらをろ過して体外へ排出させるために、腎臓に再び更なる大きな負担を与え悪循環に陥ってしまいます。
こうした悪循環により、糖尿病腎症などの合併症の悪化を早めてしまうことがあります。


高血圧と食事の密接な関係

高血圧の方、高血圧になりやすい方には、味の濃い料理や揚げ物などの油っぽい料理、インスタント食品や漬物などの加工食品を好む傾向にあるといわれています。


これらに共通して言えることは、「塩分の過剰摂取」です。
塩分=食塩の主成分はナトリウムです。


ナトリウムは過剰摂取により、それを体外へ排出させる腎臓の能力を上回ってしまうと体内に溜まっていきます。
そして、体は血液や体液中に溜まったナトリウム濃度を調節するために水分を多く溜めこみます。その結果、血液量が増え、血圧が上昇するのです。


高血圧の予防や、血圧をコントロールするためには、塩分摂取を制限することが重要です。
そのためには、食習慣の改善が不可欠です。


血圧を抑える働きのある食品を積極的に摂る、塩分を控えた食事をする、薄味に慣れる、薄味でも美味しさを感じる料理の工夫を行う、などの日々の食生活での実践が必要です。


厚生労働省からの公表によると、1日の塩分摂取の目標値は、男性10g未満、女性8g未満とされています。
しかし、高血圧の場合はさらに厳しくなり、日本高血圧学会の定めた目標では、1日6g未満とされています。


高血圧を抑える食品とは?~高血圧対策に欠かせないカリウムとマグネシウム

高血圧を抑えるためには、血圧を抑える効果のある食品を積極的に取り入れることが一つの方法です。


具体的には、ミネラルの一種である、カリウムやマグネシウムの摂取を心がけます。


カリウムには、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排泄する作用があります。
カリウム摂取目標値は、1日3.5g以上とされています。


マグネシウムには、血管の収縮(血圧の上昇)に関わるカルシウムの過剰な吸収を抑えることで、血圧の上昇を防ぐ効果があります。
マグネシウムの摂取目標値は、1日あたり5.4mg/体重(kg)とされています。


参考URL:

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/seikatu/kouketuatu/meal.html


http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4ad.pdf


① カリウムを多く含む食品

カリウムは、野菜全般やくだもの、大豆・いも類、種実類(ナッツ類)、海藻類・きのこ類に多く含まれます。
野菜に含まれるミネラル類は加熱により失われる部分が大きいため、生での摂取が望ましいです。
また、納豆や豆腐・いも類などは、一回で食べられる重量が大きいため、その分カリウムも多く摂ることができます。


くだもの類もカリウムを多く含むものがありますが、果糖も多く血糖値を上げてしまうため控えたほうが良い場合がありますので、くだものの摂取については医師と相談してみると良いでしょう。


※ただし、すでに腎機能が低下し、カリウムが尿から排出しにくくなっている場合は、カリウムが体内に蓄積する「高カリウム血症」(http://merckmanual.jp/mmpej/sec12/ch156/ch156f.html)を引き起こす可能性があるので控える必要があります。
腎機能低下が見られる場合は、カリウム摂取について医師に相談しましょう。


② マグネシウムを多く含む食品

マグネシウムを多く含む食品には、大豆製品・海藻類・魚介類・種実類(ナッツ類)があります。
大豆製品や海藻類についてはカリウムも多く含まれるので、毎日摂りたい食品です。


種実類の代表ともいえるゴマやアーモンドにも多く含まれます。
たくさんは摂りにくい食品ですが、様々な料理のアクセント(ゴマ和え・ナッツ和えなど)などとして取り入れることで、摂取量を増やすことができます。


魚介類にも多く含まれますが、塩分の多いつくだ煮や塩辛などの加工品は避け、素材そのものを食べるようにしましょう。



③ その他

直接血圧を下げる作用はありませんが、減塩の調味料が市販されています。
減塩タイプのしょうゆや味噌、ソースやドレッシングなど、一般的な調味料類には、減塩タイプというものが多く販売されています。
高血圧対策にはこれらの調味料を活用することも有効な方法の1つです。


減塩の工夫と血圧を抑える食品の応用~参考レシピのご紹介

これまで見てきたように、高血圧を抑えるためには、日々の食事を減塩にすることや血圧を抑える食品を積極的に取り入れることが大切です。


それでは、実際の高血圧対策の簡単レシピをいくつか紹介します。


~レシピのご紹介~


① わかめと玉ねぎのゴマサラダ(1人分)

▼材料
・たまねぎ  1/2個
・乾燥わかめ  小さじ1/2杯
・かいわれ大根  1/4パック
・レタス  1~2枚
・かつお節パック  1P(3g分程度)
・ごま  小さじ1/2杯
・酢  大さじ1/2杯
・減塩しょうゆ  小さじ1/2杯
▼作り方
1.たまねぎは薄くスライスし、サッと水洗いして水分を切ります。

2.乾燥わかめは水戻し後、水気をよく絞っておきます。

3.かいわれ大根は根元を落とし、ざく切りにしておきます。

4.ボールにたまねぎ、わかめ、かいわれ大根、ちぎったレタス、ごま、調味料を入れ全体を混ぜます。

5.器に盛り、かつお節をかけたらできあがり。

② 厚揚げとキノコのソテー(1人分)
▼材料
・厚揚げ  大1/2枚(約200g)
・しいたけ  2枚
・しめじ  1/2P
・油  小さじ1杯
・酒  大さじ1/2杯
・砂糖  小さじ1/2杯
・減塩しょうゆ  小さじ1杯
・酢  大さじ1/2杯
・こしょう  少々
・だいこん  5センチ程度→大根おろしにし、軽く水気を絞っておきます。
・大葉  1枚→千切りにしておきます。
▼作り方
1.厚揚げは一口大に切り、きのこ類は食べやすく切ります。

2.油を熱したフライパンで炒め、酒を振ってアルコールを飛ばします。

3.火を止めてから、混ぜ合わせたその他の調味料類を加えて絡めます。

4.大根おろしに千切りの大葉を混ぜて、お皿に盛ったソテーの上にのせてできあがり。

③ イカと山芋のキムチ和え(1食分)
▼材料
・イカ(イカそうめん)  40g
・キムチ  30g
・きゅうり  1/3本
・山芋  30g
・ごま油  大さじ1/2杯
・白炒りごま  小さじ1/2杯
・焼き海苔  1枚
▼作り方
1.キムチはざくざくと大まかに刻み、きゅうり・山芋は千切りにします。

2.イカそうめんにキムチ・きゅうり・山芋・ごま油・ごまを混ぜます。

3.器に盛り、焼き海苔を細かくちぎって散らしてできあがり。

この3つのレシピに、主食のごはんを組み合わせたら1食分の献立となります。
カリウム:約1140mg、マグネシウム:約220mg、食塩:約2.3g の摂取となります。


カリウムは1日に必要量の約32%、マグネシウムは70%以上、食塩は1日6gとした場合、約38%の摂取に抑えられます。
※主食のごはんは白米よりも玄米のほうが栄養価が高く糖尿病患者さんにもおすすめです。


ポイントは、減塩調味料(減塩しょうゆ)を活用し、酸味や辛みでメリハリをつけ、薄味を感じにくくすることです。
また、カリウム・マグネシウムを豊富に含む、野菜類や大豆製品・いも類・海藻類・きのこ類・魚介類を多く取り入れています。


その他の減塩のポイントは、
・煮物や汁物などは薄味に仕上げ、だしなどの旨みを十分に効かせる。
・塩分を多く含む麺類などの汁は残す。
・食卓で使用するしょうゆやソースなども減塩タイプのものにし、「かける」のではなく
「つける」ようにする。こうすることで摂取量を減らせます。


最初のうちは塩分量がどのくらいなのかわかりにくいですし、塩分をきちんと管理しようと思うと、とても大変ですので、塩分量が記載されたレシピを使うものよいでしょう。
大体どれくらいの調味料を使うと塩分量がどのくらいになるのか、味の参考にもなるので、ぜひ試してみてくださいね。
(参考URL: http://jp.diabetes.sunstar.com/food/recipe/

食生活の改善がカギとなる、糖尿病における高血圧の抑制の重要性

糖尿病において高血圧は、合併症の発症だけでなく、合併症の進行をも加速してしまいます。
高血圧の予防や抑制には、医師による薬物治療のほか、自分で食生活の改善をすることが不可欠です。


減塩調理法や、血圧を抑える食品についての知識を深め、普段の食事で継続していくことが大切です。

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