糖尿病の食事コラム

最新の「糖尿病診療ガイドライン」を食卓に活用するために

糖尿病の食事療法については、日本糖尿病学会が『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 2013』を出していて、その中に「食事療法」についても記載されています。そのポイントと実際の食生活への応用について解説します。


まずは摂取カロリーを把握しましょう

糖尿病の食事療法をはじめるにあたって、まずやらなくてはならないことが、摂取カロリーの把握です。
糖尿病の場合、摂取カロリーは、血糖値、血圧、肥満度、生活活動、合併症の有無等を考慮して決定されますが、基本的には摂取カロリーは、「摂取カロリー(kcal)=標準体重(kg)×身体活動量」の式で求められます。


ここで使用する標準体重は、「標準体重(kg)=身長(m) の2乗×22」で計算します。
身体活動量は、力仕事が多い人など活動量が大きい人ほど大きくなります。
目安としては、終日安静の場合20~25、主婦・デスクワークが主な人は25~30、立ち仕事なら 30~35、力仕事が多い人なら35以上となります。


妊婦さんに関しては、必要十分な栄養を付加する必要があり、肥満でない妊婦さんに対しては、標準体重に身体活動量として30をかけたものに、健康な妊婦に対しての付加量(妊娠初期50kcal、中期250kcal、末期450kcal、授乳期350kcal)を加える方法や、妊娠中全期間一律に200kcal付加するといった方法が推奨されています。


食事の摂り方にも注意しましょう。
1日3回の食事を基本とし、可能な限り規則正しく、食べる時間を決め、早朝の高血糖を避けるため21時以降の食事は控えた方がよいでしょう。
早食いは肥満のもとにもなるので良く咀嚼して食事することも大切です。


炭水化物・たんぱく質・脂質はバランスに気をつけて

糖尿病の人では、1日の摂取エネルギーのバランスを考える必要があり、炭水化物は50%~60%、たんぱく質は20%で、残りを脂質で摂るようにします。


○炭水化物

炭水化物を必要以上に減らして低炭水化物高たんぱく質の食事をすると、動脈硬化が起こってくるという報告もありますので注意します。
また、お菓子や清涼飲料等のショ糖を多く含むものは、血糖値や中性脂肪値を上げるので控えめにします。
同じ炭水化物の中でも、精製された白米より玄米や雑穀米、砂糖を摂る場合も上白糖よりは黒砂糖のほうが食後の急激な血糖の上昇を抑えられるので望ましいと言えます。


○たんぱく質

特に糖尿病腎症を合併している患者さんや動脈硬化がみられている患者さんは、たんぱく質を摂りすぎないように注意する必要があります。
卵・魚介類・肉類、大豆等の植物性たんぱく質を中心とし、加工食品に偏らないようにします。


○脂質

コレステロールに注意し、飽和脂肪酸を多く含む動物性のものよりも植物油を主体とします。
料理の炒め物や揚げ物における油吸収量にも注意が必要です。
100gのものを天ぷらにすると材料にもよりますが15g以上の油を吸収することになります。
フライや天ぷらよりも素揚げ・唐揚げの方が油を吸収しません。


注意が必要な食材、気にせず摂ってもいい食材

塩分の過剰摂取は、合併症の発症にもつながるため、特に注意する必要があります。
塩分を過剰摂取すると、血圧の上昇、食欲増進、動脈硬化につながり、高血圧や糖尿病腎症等の合併症のリスクを上げてしまいます。
したがって、塩分は控えめにすることが重要です。
特に糖尿病腎症や高血圧の患者さんは、1日6g未満の摂取とするようにしましょう。
普段からラーメンの汁は飲まない、醤油をつけすぎない等の注意が必要です。
また糖尿病腎症になるとカリウムの量も制限する必要があります。


カロリーをコントロールする中で、空腹感が強い場合は、カロリーが低く食物繊維を多く含むコンニャク、キャベツ、タケノコ、キノコ類、海藻等を摂るといいでしょう。
食物繊維は血糖やコレステロールの改善にも有効とされていて、野菜に関しては1日350g以上摂ることが推奨されています。


ただし、炭水化物からのエネルギー摂取分が、血糖が上がりにくい多糖類や食物繊維に偏りすぎると、低栄養となり体に力が入らなくなったり、食欲が落ちたり、肌が荒れやすくなるなどの症状が出たりするのでバランスに注意します。
さらに海藻はヨウ素を多く含むため摂りすぎに注意します。
日本人は普段の食事からでも摂取量上限に近い量のヨウ素を摂取しています。
昆布、わかめは特にヨウ素が多く含まれているので注意しましょう。


「食品交換表」を活用しましょう

日本糖尿病協会では、「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版」という書籍を発行しています。
糖尿病の人がスムーズに食事療法を行えるように、様々な食品を栄養素ごとに分類してあります。
食品交換表では、1単位を80kcalとして1単位相当の食品分量等をグラム数で示しているため、献立づくりに活用しやすくなっています。


例えば軽いデスクワークで170cmの人は、1.7×1.7×22 = 64kgが標準体重になります。
軽いデスクワークなので64kgに25をかけて1600kcalが摂取カロリーの目標になります。1単位80kcalなので、1日20単位摂ることになります。
食品交換表では、1日の単位から、炭水化物、たんぱく質、脂質をそれぞれ1日何g摂ればいいのかが表にまとめられています。
ここで求めた量は1日分になっていますので、これを1日3食の中で振り分けて献立が作れるようになっています。
食品交換表では、例えば1日20単位の場合で、炭水化物240gとすると、たんぱく質70g、脂質40gが1日分となり、これをもとにどんな食材を組み合わせてバランスよく献立を作っていったら良いかが、分かりやすく掲載されています。



いかがでしたか?「糖尿病診療ガイドライン」と「食品交換表」を活用して、無理なく食事療法を続けましょう。

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糖尿病とうまくつきあう食生活のコツ

次の食材のうち、血糖値を上げにくいものがどれでしょう?

1.うどん
2.玄米
3.とうもろこし

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