糖尿病の食事コラム

糖尿病の食事療法における炭水化物摂取のコントロール

糖尿病において最も重要とされるポイントは、血糖のコントロールと言われています。

糖質を含む栄養素の代表が炭水化物と呼ばれる物質であり、食事からのエネルギー摂取において欠かすことのできないものです。

しかし炭水化物はエネルギー量も多く血糖値を上げやすいため、炭水化物の摂取を適正な量にコントロールすることが糖尿病の食事療法において重要となります。

ではなぜ、糖尿病の治療において炭水化物の摂取をコントロールすることが必要なのか?

その理由や方法についてご紹介していきます。

炭水化物とは何か?糖尿病における炭水化物のコントロールの必要性とは?

炭水化物とは、たんぱく質、脂質と並び、人が生きていく上で必要な三大栄養素の1つです。

炭水化物は、主にエネルギー源となる栄養素で、消化吸収されエネルギーとなる糖質と、消化吸収されない食物繊維に分類されます。

食品に含まれる炭水化物の中の糖質の摂取は、血糖値の上昇に関わり、糖尿病の食事療法における血糖のコントロールという視点から、過剰な炭水化物の摂取を制限することが必要となってきます。

一方で、炭水化物には食物繊維も含まれます。

食物繊維は血糖値の上昇を穏やかにする働きがあり血糖のコントロールに有効であることから、炭水化物の摂取においては、炭水化物の種類や量を考慮して、適切に摂取または制限する必要があります。

日本糖尿病学会によると、一般に糖尿病の食事療法では、摂取するべき炭水化物(糖質)の量は、1日に摂取するべきエネルギー総量の50%~60%、食物繊維は1日20g以上の摂取が望ましいとされています。

炭水化物を完全に摂らないようにしたり、極端な摂取制限は、摂取エネルギー総量における脂質やたんぱく質の割合を増加させ、かえって糖尿病や合併症などの進行に影響を及ぼすことから、上記の割合を基本とした適正な摂取を推奨しています。

炭水化物の摂取量の目安と、炭水化物を多く含む食品

先にも述べましたが、炭水化物の摂取量の目安は、1日に摂取するべきエネルギー総量の50%~60%とされています。

1日のエネルギー摂取量は、その人の標準体重や日常生活における活動量によって異なり、以下の計算方法で割り出すことができます。

標準体重=身長(m)×身長(m)×22 

エネルギー摂取量(kcal)=標準体重(kg)× 身体活動量(kcal/kg標準体重)

※身体活動量:体を動かす程度によって決まる体重1kgあたりのエネルギー必要量

 身体活動レベル別の身体活動量

  軽い=生活の大部分が座位で、静的な活動が中心。

     デスクワークが多く特に運動はしていない → 25~30(kcal)

  普通=座位中心の仕事だが、立位での活動(接客・家事・外回りなど)も行う、

     あるいは日常的に軽い運動をしている → 30~35(kcal)

  高い=移動や立位の活動(力仕事など)が多い。

     あるいは日常的に活発な運動習慣がある →35~(kcal)

例)身長170cmで、外回りの営業職(身体活動レベル=普通)の場合の摂取エネルギー量

標準体重=1.7×1.7×22=63.6 kg

エネルギー摂取量=63.6kg×30kcal=1,908kcal  →  約1,900kcal

参考:糖尿病治療ガイド2012-2013

この場合、炭水化物の摂取量目安は、1日あたり約1,045kcal=約260gと計算されます。

(炭水化物1gあたり4kcal、炭水化物比率55%で計算)

次に、実際の食品のエネルギー量について見てみましょう。

炭水化物は、ご飯・パン・麺類などの主食となる穀物類、いも類や豆類(大豆や大豆製品を除く)、れんこん・かぼちゃ・とうもろこしなどの炭水化物(でんぷん質)の多い野菜などに分類されます。

◆よく食べられる炭水化物の多い食品におけるエネルギー量

白飯:      150g(茶碗に軽く1杯)で約250kcal 

食パン:     6枚切り1枚で約160kcal

ゆでうどん:   1玉で約240kcal

スパゲティ:   1人前100g(乾麺)で約400kcal

じゃがいも:   1個で約80kcal

さつまいも:   焼き芋100gで約160kcal

かぼちゃ(加熱): 130gで約80kcal

れんこん(加熱): 130gで約80kcal

炭水化物は主食と言われる食品に多く含まれますが、いも類や、野菜類にも炭水化物を多く含むものがあり、たとえば、1日3食で白飯1杯、6枚切り食パン1枚、スパゲティ1人前を摂取したとすると、約800kcalです。

これにおかずとしてコロッケや芋の煮物などがプラスされた場合や、料理に使用する調味料や砂糖などに含まれる糖質なども加味すると、1日に摂取するべき炭水化物を制限内におさめることは容易ではないことが伺えます。

また、炭水化物の摂取を減らすには、主食が炭水化物摂取の大部分を占めることから、炭水化物の多い主食をより減らすことが効果的であると言えます。

炭水化物の多い主食をより制限するための工夫や代用品について

ご飯やパン、麺類などの主食は、ボリュームがあって満腹感や満足感の源の1つです。

食事における満腹感や満足感をできるだけ維持したまま炭水化物の摂取を減らすには、食物繊維を多く含む食品を積極的に摂ることがおすすめです。

食物繊維は炭水化物の一種ですが、食後の血糖値の上昇を穏やかにする働きがあり、また、体内で水分を取りこんで膨らむ性質があることから満腹感も得られますので、主食の制限による物足りなさを補うことができます。

食物繊維を多く含む食品は、野菜や海藻類、きのこ類などがあげられます。

また食事の際、主食やメインのおかずを食べる前に、食物繊維を多く含むサラダなど野菜や海藻類を食べることで満腹感が得られ、炭水化物の摂取量を控える助けとなります。

さらに、先に食物繊維を含む食品を食べることは、先に炭水化物を食べるよりも血糖値の上昇を穏やかにする効果も見込めます。

また、こんにゃくは食物繊維が多い食品の一つで、ボリューム感もあり他の食品と混ぜても味にあまり影響しません。

そのため主食の代用としての食品に使用され広く市販されています。

たとえば、「こんにゃく米」と呼ばれるものは、細かくしたこんにゃくをご飯に見立てたもので、白飯に適量混ぜてかさを増し、ボリューム感を損なうことなく白飯自体の摂取を減らすことできます。

他にも、「こんにゃく麺」という食品もあり、ラーメンやスパゲティの代用品として利用することができます。

その他、食物繊維をより多く摂取するという視点から、主食の種類を見直すことも有効です。

たとえば普段白飯を食べている場合は、これを玄米に変えることで、白米の約5倍も多く食物繊維を摂取することができます。

また、ライ麦パンは、食パンの2倍以上の食物繊維を含んでいます。

主食の炭水化物を極端に減らしてしまうと食事の楽しみや、満足感が得られなくなってしまいます。

ですので、このように食物繊維の多い食品を取り入れたり主食の代用品を使ったりして上手く炭水化物をコントロールして無理なく続けていくことが大切です。

糖尿病における炭水化物の摂取は、適切な制限を

糖尿病の食事療法において炭水化物の摂取制限は、血糖のコントロールのためにとても重要です。

しかし炭水化物を多く含む主食の極端な制限は、食事の満足感を失ってしまうだけでなく、エネルギー摂取における栄養素の比率が偏り糖尿病や合併症に悪影響を与えかねないため、あくまで適正な摂取制限をすることが大切です。

まずは自分の生活習慣を考えて、どの程度食べてよいのか、またどんな食品を食べれば効果的なのかを把握することから始めましょう。

食品の種類に気を遣ったり、主食の代用品などを使えば、炭水化物の摂取を上手くコントロールしつつ満足のいく食事を楽しむことができます。

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