糖尿病と外食

糖尿病における食事療法のコツ・工夫~健康的な食生活のために

糖尿病になってしまった方や予備群といわれる方々は、治療の一環として食事療法が不可欠です。
糖尿病とは、食事と関わりの深いインスリンという物質の分泌量の不足や、働きの低下により、血糖値のコントロールが出来なくなるために起こる病気です。
放置すれば病状は進行し、さまざまな合併症を引き起こす、恐ろしい病気です。
※インスリンとは、すい臓から分泌されるホルモンの一種です。食後に上がった血糖をエネルギーに変えるという代謝機能を助ける働きがあります。


糖尿病になってしまったら、完治は難しいですが、その進行を緩やかにすることが重要です。そのためには、1日に摂るべきエネルギーを守り、栄養バランスの良い食事に変えること。それを毎日続けることです。これが食事療法です。
糖尿病で治療や投薬を行っている方であっても、毎日の食事療法がきちんと行われなければ、血糖値のコントロールが良好に行われず、治療効果も上がりません。


しかしながら、今まで食事に対して意識や知識の少ない方がいきなり食事療法の知識を身につけ、実行することは非常に難しいのではないでしょうか。


そこで今回は、食事療法で気を付けることや注意点、長く続けるコツ、うまくいかない原因とその解決法についてご紹介したいと思います。



1. 1日に摂るべきエネルギー量は、どのように計算すればよいのでしょうか?

1日に摂取するべきエネルギー量を守ることは、糖尿病の食事療法においては基本であり、最も重要なポイントです。
人それぞれ摂取エネルギー量は違いますが、以下の計算方法により求めることが出来ます。


標準体重=身長(m)×身長(m)×22
エネルギー摂取量 (kcal)=標準体重(kg)× 身体活動量(kcal/kg標準体重)
※身体活動量:体を動かす程度によって決まるエネルギー必要量


軽労作=デスクワークが多い職業など→ 25~30(kcal)
普通の労作=立ち仕事が多い職業など→30~35(kcal)
重い労作=力仕事が多い職業 →35~(kcal)


例)身長170cmで、外回りの営業職(普通の労作)の方の摂取エネルギー量とは?
標準体重:63.6kg×30=1,908kcal  →  約1,900kcal
参考:糖尿病治療ガイド2012-2013


以上のように求められます。
このエネルギー量を守り、1日3食、バランスの良い食事を行うことが大切です。


2. バランスの良い食事 と言われますが、何をどのくらい食べたらよいのか、目安が分かりません。

食品交換表というものをご存知でしょうか?
食品交換表とは、食事療法のための献立作りをより分かりやすく簡単にするために考えられたもので、本屋やインターネットなどで販売されています。
様々な食品を6つに分類し、それぞれの食品を80kcal=1単位とし、その目安量が記されています。
例えば、6枚切り食パン1/2枚が1単位、卵なら小1個が1単位 というように、80kcalあたりの様々な食品の目安量が分かりやすくまとめられていますので、食事を作る際や食べる際に、とても便利なものです。
1日の摂取エネルギーが1,900kcalと定められた人の場合、80kcal=1単位に換算すると、23~24単位となります。
この単位をもとに食品交換表を参照すると、1日で何をどのくらい食べたらよいのかが分かりやすく記されています。


3. 定められた摂取エネルギー量では食事量が少なく感じ、満足感を得られません。 ストレスをなるべく抑えて食べられる工夫はあるのでしょうか?

糖尿病の食事療法にでは、摂取エネルギーが定められ、糖質(主に炭水化物)の摂取量にも制限が生じます。ご飯やパン、麺類といったボリューム感や満腹感を感じるものの量が制限されるため、日々の食事に物足りなさを感じ、それがストレスにつながってしまうことがあります。これは、食事療法を続ける中で行き詰まってしまう“壁”のようなものではないでしょうか。


このような状態の解消法には、さまざまなコツやポイントがあります。
まずは、“ゆっくりとよく噛んで食べること”です。あごを動かす=よく噛むことや、胃の中に食べ物が入ることで、脳に満腹感が伝えられます。そのため、あまり噛まずに早食いなどをすると、満腹感を感じる前に食べすぎてしまったり、物足りなさを感じやすくなってしまいます。


次に、“より多く食べることが望ましい食品を積極的に取り入れる”こともポイントです。
野菜やこんにゃく・海藻類・きのこ類などの食品は低エネルギーで、食物繊維を豊富に含みます。糖類の吸収を穏やかにする食物繊維が摂取出来ると同時に、量や見た目の上でもボリューム感を出すことが出来ます。そのため、エネルギー量を抑えながらも、より多く食べることが出来ますし、満腹感も得られます。
食物繊維には体内での糖質の吸収を穏やかにする働きがあるため、糖尿病の食事療法には欠かせません。『厚生労働省 e-ヘルスネット 糖尿病の食事』によりますと、食事療法を行う上で、野菜・きのこ・海藻などにより食物繊維を豊富に(1日あたり20~25g)食べる。という指標が出されております。


※例)野菜やこんにゃく・海藻類・きのこ類を組み合わせ食物繊維総量 について
ほうれん草:1/2束、小松菜:1/2束、ゴボウ:60g、こんにゃく:100g(1/2枚)、
えのき:1パック、しめじ:1パック、ひじき(乾燥):大さじ2杯
これらの合計の食物繊維量は 約23g です。


そのほか、“少量多種の料理”を食べることは、1品を多く食べて済ませてしまうよりもたくさんの食品を食べられ、食事の栄養バランスの向上につながります。また、食感や味付けの違うものを少量ずつ食べることでメリハリが出て、より満足感ある食事を摂ることができます。


4. 甘いもの・お菓子などは食べてはいけないのでしょうか?


糖質の制限・血糖値のコントロールが最大の目的である糖尿病の食事療法において、甘いものやお菓子類は、炭水化物と並び摂取の制限が望まれる食べ物の一種です。
間食に代表されるようなお菓子類の摂取は、1日3食の食事を規則的に摂るという点から、血糖値のコントロールを乱しがちです。
また、食事療法を行っている最中においては、お菓子を食べることで1日に摂ったエネルギーや糖質(炭水化物含む)や脂質の摂取量が分かりにくくなり、概ね過剰摂取してしまう傾向にあるため、お菓子類の摂取は望ましくありません。


しかし、食べてはいけない、という制限から感じるストレスを緩和するため、種類や量などを工夫することで、ある程度の摂取は可能になります。


まず、食べる回数は1日に1回と決め、それ以外の間食は避けましょう。
さらに、徐々に減らすように心がけ、「1日1回」を、「1日おき」に移行するなど、自分なりにルールを決めてみるのもよいでしょう。
食べる時間にも意識を向け、夜遅い時間のおやつは太りやすくなるので、避けるようにしましょう。
また、どうしても口さみしいときは、低エネルギー甘味料(ステビアやオリゴ糖、キシリトールなど)を使用したキャンディーなどが多く市販されていますので、活用されてみてもよいでしょう。


ケーキなどの洋菓子は糖質に加え脂質も高く、和菓子は砂糖が多く使われており、さらに炭水化物の量も多いため、食事療法の中では摂取をおすすめできない食品です。


ですが、どうしても食べたいこともあるでしょう。その場合は、その分のエネルギー量を1日の摂取エネルギーにきちんと加算して、食事でのご飯類や油ものの摂取を抑えるようにしましょう。


他にも、お菓子類の代わりに果物を取り入れるのもポイントです。
『2』の項で紹介しました食品交換表で換算すると、糖尿病の食事療法では1日に1単位(80kcal)の果物の摂取が可能です。
1単位分の果物の例としましては、バナナでは中1本、みかんでは中2個、りんごでは中1/2個などとなっております。果物には甘みもありますし、食物繊維や様々なビタミン類も含まれているため、食後のデザート・甘味、おやつには適していると考えられます。



まとめ

糖尿病の食事療法における上記のような事象は、行っている療法がうまくいっていない、または失敗してしまう原因のほんの一部ではありますが、原因として考えられる最大のことは、“ストレス”や“制限”ではないでしょうか。
とても漠然とした表現ですが、食事療法によって行うエネルギー量や食べる量の制限や、好きなものを食べてはいけない という思いがストレスにつながり、日々続けることが困難になってしまうと考えられます。


糖尿病の食事療法の最大の目的は血糖値を良好に保つことにあります。
摂取してよい食品の量や種類に制限はありますが、それにとらわれず、他の方法を見出すことがストレスを抑えて続けるポイントであります。


これまで述べたように、炭水化物や脂質の摂取制限はありますが、代わりに野菜類を多く取り入れて“料理のかさ増し”をする。また、ゆっくりとよく噛んで食事をすることでより満腹感を感じやすくなるなど、工夫するポイントがあります。
甘いものなどの嗜好品は、「食べてはいけない」と考えるのではなく、「最初は1日1回だけにし、徐々に減らしていく」というように見方を変え、果物を摂取したり、低エネルギー甘味料を利用したお菓子類、寒天やゼリーなどを食べて満足感の助けとするなど、方法はいくつかあるものです。


糖尿病の食事療法は、長く続けることが血糖値のコントロールを保つポイントです。
長く続けるためにはストレスを抱え込まず、前向きに行えるよう、日々の食生活に様々な工夫を取り入れることが大事です。

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