糖尿病の食事コラム

10人に1人!?最近増えている「妊娠糖尿病」とは?食事療法のポイントをチェック!

ninpu

糖尿病には「1型糖尿病」と「2型糖尿病」がありますが、その他にも妊娠中に見られる糖代謝異常に「妊娠糖尿病」があります。

そこで「妊娠糖尿病」とは何か、その原因や症状、合併症、胎児への影響を解説し、対策や予防法を紹介します。

どんな人がなりやすい?「妊娠糖尿病」とは?

⑴ 妊娠糖尿病とは

妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見、発症した糖代謝異常のことをいいます。妊娠前から糖尿病に罹患している場合や、妊娠中に発見した場合であっても妊娠糖尿病の診断基準を大きく上回り、通常の糖尿病の基準も満たしている明らかな糖尿病の場合は「糖尿病合併妊娠」と呼びます。

<妊娠糖尿病の診断基準>

妊婦健診の尿検査で「尿糖プラス」となると、妊娠糖尿病の再検査として、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)が行われます。

75gOGTTが空腹時92mg/dl以上、1時間値180mg/dl以上、2時間値153mg/dl以上のいずれかがあれば「妊娠糖尿病」と診断されます。

⑵妊娠糖尿病の原因と症状

妊娠すると、プロゲステロンという女性ホルモンが胎盤から大量に分泌されます。このプロゲステロンは血糖値を上げる働きがあるので、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の効き目を結果的に弱める方向に作用します。正常な妊娠の場合は、血糖値をコントロールするために膵臓からのインスリンも負けじと大量に分泌されるのですが、肥満や糖尿病の家族歴、膵臓の異常など、糖尿病になりやすいリスクがあると、必要なインスリンが十分に分泌されないために血糖値が高くなると考えられています。

(参照:妊娠糖尿病のメカニズム – 妊婦糖尿病なんて怖くない!

妊娠糖尿病は、通常の糖尿病と同じく、妊娠糖尿病も初期には自覚症状に乏しいですが、急激な体重の変化、多尿、倦怠感などの症状が現れることもあります。しかし、本人の自覚症状なく、妊婦健診の尿検査や血液検査で発覚することも多いものです。

⑶ 妊娠糖尿病による母体と胎児への影響

妊娠糖尿病で高血糖状態が続くと、母体には妊娠高血圧症候群、羊水過多などのリスクが高まり、胎児には巨大児、新生児低血糖症、心臓肥大、奇形などさまざまなリスクが生じます。

また、赤ちゃんが大きくなりすぎると、難産になったり、場合によっては帝王切開が必要となったり、母体のリスクも高くなる可能性があります。

(参照:日本産科婦人科学会

⑷ 妊娠糖尿病になりやすい人とは

日本糖尿病・妊娠学会によると、妊娠糖尿病になりやすい要因として次のものが挙げられています。

  • ・糖尿病の家族歴
  • ・肥満(BMI 25以上(BMI=体重(kg)÷(身長m)×(身長m))
  • ・35歳以上の高年齢出産
  • ・巨大児の出産経験
  • ・原因不明の習慣性流産
  • ・尿検査での強度の尿糖プラスまたは2回以上の尿糖プラス
  • ・妊娠高血圧症候群 など

妊娠糖尿病を予防するには?

妊娠糖尿病を予防するには、自分が妊娠糖尿病になりやすいリスクがあるかどうかを把握し、日頃から食事に気を付け、適度な運動を行って、妊娠する前に肥満を改善するなどリスクをできるだけ少なくする必要があります。

妊娠後は定期的な妊婦健診を欠かさず受け、食事に注意して体重の増え過ぎに注意しましょう。

妊娠糖尿病改善のポイント

通常、糖尿病における基本的な治療は、食事療法と運動療法。これらで血糖コントロールがうまくいかない場合に薬物療法(インスリン注射や経口薬など)も併用します。しかし、妊娠糖尿病の場合は、必ずしも同じではありません。

⑴妊娠糖尿病の食事療法

日本糖尿病学会によると、妊婦さんの1日の総エネルギー量は、標準体重をもとにした1日の必要エネルギー量に胎児の健全な発育のための付加量を加えた以下の式での算出が一般的です。

【{標準体重}×30kcal+200kcal】

妊娠糖尿病の場合、胎児の発育のために過度な栄養制限は行わず、特に肥満の場合においてのみエネルギー付加(200kcal)をしないことになっています。

また、空腹時血糖と食後高血糖のコントロールが重要とされているため、食事の1回量を抑えて1日6回程度に食事回数を増やす分食がすすめられています。

妊娠糖尿病の食事のポイントは、食事の順番と栄養バランスです。食事は、野菜(食物繊維)→おかず(タンパク質、脂質)→主食(炭水化物)の順で摂るようにすると血糖値の上昇を抑えることができます。

一般的に食事療法では、脂質の少ない和食中心が良い、血糖値の上昇を防ぐために海藻を摂取すると良いなどもよく言われますが、妊娠糖尿病の場合、和食に偏り過ぎても塩分摂取量が増え、妊娠高血圧症候群のリスクを高めます。妊婦さんの海藻類の取りすぎもヨウ素の摂取量が過剰になる恐れがあります。

ヨウ素の過剰摂取は新生児・乳児の甲状腺機能低下症のリスクが高まるため注意が必要です。

ただし摂取不足も胎児の脳の発育に影響するという報告もあるため、医師や管理栄養士の栄養指導を守るようにしましょう。

⑵ 妊娠糖尿病の運動療法

糖尿病では運動療法も大切ですが、妊娠中の運動は切迫早産・流産を招くリスクがあるため運動をしても良いかどうか医師に確認する必要があります。また、糖尿病診療ガイドラインでは妊娠糖尿病の運動療法の効果は明らかになっていないとされています。

運動する場合は、激しい運動は避け、1日30分程度の軽いウォーキングがおすすめです。また運動するときは低血糖予防のためにブドウ糖を携帯するようにしましょう。

(参照:科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013

妊娠前から健康を意識した生活を!

妊娠糖尿病に罹患する妊婦さんは、近年急増しており、全妊婦さんの7~9%程度にも上ります。これは、何らかの原因により患者数が増えたというよりも、2010年に26年ぶりに診断基準が改訂され、以前の診断基準よりも、母体や胎児へのリスクを低減させるための厳格な基準に改訂されたという背景もあります。

また、日本糖尿病学会によると、妊娠糖尿病の発症経験のある人は、将来の糖尿病の発症リスクが高いとされています。

つまり、妊娠糖尿病の予防は、糖尿病の発症を予防することにもつながるのです。

したがって、肥満傾向にある人や遺伝要因から妊娠糖尿病になりやすいと考えられる場合は、妊娠前から栄養バランスのとれた食事や適度な運動を心がけ、生活習慣を早めに改善するようにしてくださいね。

  • 参照・参考
  • 妊娠と糖尿病 | 糖尿病情報センター
  • 生理不順(月経異常)は糖尿病が原因? | 糖尿病症状セルフチェック.com
  • 妊娠糖尿病の予防のポイント | 糖尿病症状セルフチェック.com – Part 3
  • ヨウ素 | 海外の情報 | 一般の方へ | 「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業
  • 早産・切迫早産:病気を知ろう:日本産科婦人科学会
  • 糖尿病診療ガイドライン2016|南江堂

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