糖尿病の食事コラム

糖尿病のインスリン療法と食事の深い関係

私達は食事をすることで栄養成分を取り入れています。
そしてこれらの栄養成分を摂取してそれが消化吸収され代謝利用されていく過程で、私達の体の中では酵素やホルモン等が働いています。
炭水化物を食べ、それが消化されて糖(グルコース)が血液中に増えてくると、インスリンというホルモンが分泌されて、血液中のグルコースの量を減らし、血糖値があがりすぎないように調整してくれています。しかし糖尿病の場合、インスリンの分泌量やインスリンの働きが十分ではなかったりするので、食事制限をしたりインスリンを注射したりする治療法が行われています。


●インスリンってなに?

インスリンは膵臓から分泌される51個のアミノ酸からなるペプチドホルモンです。
ホルモンとは、脳下垂体、甲状腺、副腎をはじめ、体のいたるところで作られ、少量で体に大きな影響を及ぼすペプチドやアミノ酸誘導体、ステロイドなどのことを言います。
インスリンが体に及ぼす最も大きな影響は、血液中のグルコースを必要とする組織に取り込んで血糖値を下げてくれるという大きな働きです。


人間はグルコース(ブドウ糖)をエネルギー源としています。脳細胞は多くのエネルギーを必要としますし、筋肉を動かすなど、ありとあらゆる細胞でグルコースが必要となっています。そこでインスリンは、食事等から吸収された血液中のグルコースを、必要としている、いろいろな細胞に取り込ませ血糖を下げるという、とても大切な働きを担っています。


この血糖を下げる働きがあるホルモンはインスリンだけで、私達はインスリンが体から全くなくなってしまうと1~2日で死んでしまいます。

http://www.novonordisk.co.jp/Images/CO_library/thoroughness_comment_insulin/pdf/explained_thoroughly_insulin.pdf

●血液中にグルコースが出てくる3つのルートとインスリン

グルコースは体のエネルギー源であり、各組織に必要ですが、このグルコースが体内循環のために血液中に出てくるルートは3つあります。
インスリンは、それぞれに関与し、血液中のグルコースを組織に取り込み血糖値を下げる働きをしています。


1.食事から摂取されたグルコースとインスリン

炭水化物を摂取すると、唾液中のアミラーゼや小腸の消化液等によりグルコースに分解されます。分解されたグルコースは、小腸から吸収されて血液中に入ってきます。そして肝臓で代謝され、赤血球や筋肉、脳等、体のあらゆるところで利用されます。
インスリンは、血液中にグルコースが増えてくると、筋肉や脂肪組織等、グルコースを必要な組織に取り込んで血糖を下げます。

2.蓄積されたグリコーゲンの利用とインスリン

血糖が上がるとグルコースはインスリンの働きで肝臓や筋肉にグリコーゲン(グルコースから作られる組織貯蔵型の多糖類)として蓄えられます。肝臓に蓄えられたグリコーゲンは、エネルギーが不足してきた時に速やかにグルコースに分解されて血液中に出てきます。筋肉中のグリコーゲンは運動中に筋肉で分解され筋肉を動かす原動力になります。


3.アミノ酸や脂質からできるグルコースとインスリン

肝臓のグリコーゲンは貯蔵量が多くないので、さらにグルコースが必要な場合には、筋肉のタンパク質をアミノ酸に分解し、そこからグルコースが合成されます。
さらに中性脂肪も脂肪酸とグリセロールに分解され、グリセロールを利用してグルコースが合成されます。インスリンにはこの分解を抑える働きもあり、血糖を抑えます。


●インスリン治療と食事

インスリン分泌機能が低下しやすい要因の1つに内臓脂肪蓄積型の肥満があります。
肥満により脂肪細胞が膨らむと、インスリンによる血液中グルコースの組織への取り込みが起こりにくくなり、インスリン受容体にも影響が出てきて、インスリンの働きが弱まってしまいます。肥満を解消することは、インスリンの働きをよくして糖尿病を改善することにつながります。糖尿病に関しては、食事療法が行われますが、一番大切なのは総エネルギー摂取量の制限です。


●食事制限での目安

身長から標準体重を割り出し、1日に必要なエネルギー量を求めます。これが1日に摂取していくエネルギー量の目安になります。
まず「標準体重(kg)=身長(m)の二乗×22」の式に従い標準体重を求めます。
身長が150cmの人なら1.5mですので1.5×1.5×22=49.5kgが標準体重になります。
次にあなたの生活様式から1日に必要なエネルギー量を求めます。これが1日に摂取するエネルギー量の目安になります。
必要なエネルギー量は、標準体重に係数(標準体重1kgあたりの必要なエネルギー量)をかけて求めます。
係数は、一日中安静の場合20~25、主婦・デスクワークが主な人は25~30、普通の立ち仕事なら30~35、力仕事が多い人なら35以上となります。
標準体重49.5kgの人で係数30をかけると、1485kcalとなり、これが1日に摂取するカロリーの目安になります。
現在摂取しているカロリーと比較すると、何%ぐらい減らせばいいのかが大雑把にわかると思います。


●なるべくインスリン注射したくない心理は正しい?

インスリンに対するイメージとして、使いはじめると一生続けなければならないという不安があります。
これは、「インスリン注射をはじめる時は、膵臓のインスリンを作る力がすっかり落ちてしった時」という誤解から来ています。
インスリンを使わずに血糖が高い状態が続くと膵臓のインスリン分泌能力がかえって低下してしまいます。


このため、初期の段階からインスリン療法を行い、膵臓のインスリン分泌能力を回復させることで、インスリン療法が必要のない状態に戻すことも可能なのです。


日本糖尿病学会の糖尿病治療ガイドにも運動療法・食事療法とともにインスリンを初期段階から使うという選択肢が示されています。
2008年に科学雑誌ランセットに掲載された論文では、2型糖尿病の人たちに経口糖尿病薬で治療した場合とインスリン療法を行った場合を比較したところ、1年後薬物療法が必要だった人の割合は、経口糖尿病薬で治療した人が3/4だったのに対し、インスリン療法を行った人は1/2だったいう研究結果が発表されています。



全体のまとめ(総論)

糖尿病のケアには初期段階からのケアが重要です。食事療法は自分の理想体重に合ったカロリーを計算し、食べ過ぎないように規則正しい食生活をすることが大切です。ゆっくりとよくかんで、脂っこいものは控えるようにします。
日本糖尿病学会では、糖尿病食事療法のための食品交換表を書籍として出していますのでそちらを参考にしてみるのもよいでしょう。


インスリンは打ち出すとやめられなくなるということはありません。実際にインスリン注射で血糖コントロールの改善がみられた結果、インスリン療法を中止している人も多くいます。糖尿病の初期段階からインスリン注射で治療を行うことは、高い血糖状態により血管に負担がかかり、落ちてしまっている膵臓のインスリン分泌機能を回復することから、糖尿病治療ガイドにも糖尿病の初期段階治療の選択肢としてもあげられています。

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