【医師監修】実は栄養がある?糖尿病患者さんの食事療法にもおすすめ「きゅうり」の底力
きゅうりには栄養がないって本当?
きゅうりはカロリー・糖質が少なく、糖質制限レシピやダイエットレシピにも活用される夏野菜です。糖尿病の患者さんの食事療法にも適した食品であるといえます。
しかし、糖質量が少ない一方で栄養もない、むしろ栄養を壊す酵素を含んでいる、とも言われます。きゅうりには本当に栄養がないのでしょうか?
きゅうりは可食部100g中、水分が95.4gと、確かにその大半を水分が占めています。しかし同じ100g中に食物繊維が1.1g、β-カロテンが330μg、ビタミンCが14mg含まれており、決して栄養がゼロといわけではありません。
またカリウムも200mg含まれています。カリウムは細胞内の浸透圧を調節したり、ナトリウムを体外に排出する働きをしてくれる重要な栄養素のひとつですが、腎症を発症している方では、カリウムの摂取制限がある場合があります。
糖尿病の合併症である糖尿病腎症を発症している場合にはカリウムの摂取について医師とご相談ください。
きゅうりに含まれる酵素とその働きとは
きゅうりにはビタミンCを破壊する働きをもつ酵素「アスコルビナーゼ」が含まれています。アスコルビナーゼはきゅうりだけでなく、にんじんやキャベツなどにも含まれるものです。
にんじんをすりおろして大根おろしに加えた「紅葉おろし」は、実は大根のビタミンCを損なってしまう食べ方であることもいわれています。
アスコルビナーゼによるビタミンCの減少を抑えて食べるためには、アスコルビナーゼの働きを抑える酢を組み合わせるなど、調理の工夫をしてみましょう。
またきゅうりは近年、ダイエット食品として改めて評価が高まっています。その理由の一つとして、きゅうりに含まれる酵素「ホスホリパーゼ」があげられます。ホスホリパーゼはリン脂質を分解する働きを持つ酵素で、その脂肪分解酵素としての働きが注目されているのです。
もっともリン脂質は細胞膜の形成にも関わる成分で 、体内に不可欠のものでもあります。ホスホリパーゼの働きと肥満の抑制については今後、より詳細な研究が待たれるところです。